「高等学校国語・新学習指導要領」に関する見解

中世文学会は、日本文学関連学会連絡協議会に所属する16団体による連名で、「高等学校国語・新学習指導要領」に関する以下の見解を表明いたします。
(令和元年5月26日春季大会総会、および令和元年8月9日常任委員会にて承認)


平成30年に告示された新学習指導要領において、国語科必履修科目は「現代の国語」と「言語文化」に、選択科目は「論理国語」「文学国語」「国語表現」「古典探究」の4科目に分かれているが、これらの科目を「論理的な文章」「実用的な文章」を扱うか、「文学的な文章」を扱うかによって区分する基準に対し、われわれは深い憂慮を覚えるものである。「論理」「実用」と「文学」とを対立概念として捉えることは元来不可能である。また、個々の教材を「文学的」であるか否かによって区分することもまた不可能である。

日本語の歴史とともに歩んできた「文学」は、人間の存在意義や尊厳と関わる人文科学、社会科学全般と密接に関わっている。「文学」を狭義の言語芸術に限定し、囲い込んでしまうことによって、言葉によって新たな世界観を切り開いていく「人文知」が、今後の中・高等教育において軽視され、衰退しかねない危惧がある。

上記の観点から、新学習指導要領の実施にあたっては、単位の認定、教科書検定等に際し、「人文知」の軽視されることのない、柔軟な運用を行うことを強く求めるものである。

  2019年(令和元年)8月10日

古代文学会/西行学会/上代文学会/昭和文学会
全国大学国語国文学会/中古文学会/中世文学会
日本歌謡学会/日本近世文学会/日本近代文学会
日本社会文学会/日本文学協会/萬葉学会
美夫君志会/和歌文学会/和漢比較文学会
(五十音順)

2019年度秋季大会研究発表者の募集について

中世文学会では、2019年度秋季大会を下記のとおり開催いたします。
日程 2019年10月26日(土)公開講演会
    10月27日(日)研究発表会
会場 東北大学 川内南キャンパス
   宮城県仙台市青葉区川内27-1

つきましては、研究発表会の発表者を募集いたします。発表時間は25分です。
発表ご希望の方は、題目と800字以内の要旨に所属・氏名を明記の上、
2019年7月24日(水)必着で、事務局までメール(添付ファイル)または郵便でお申し込みください。メールでお申し込みの場合は、事務局より返信いたします。 返信のない場合には、必ずご一報ください。

       

事務局移転のお知らせ

2019年度春季大会をもちまして、中世文学会事務局は日本女子大学から東京大学に移転いたしました。今後のお問い合わせは下記にお願いいたします。

〒113-0033
東京都文京区本郷7-3-1 
東京大学文学部 国文学研究室内
中世文学会事務局 
E-mail:chusei@l.u-tokyo.ac.jp

2019年度 中世文学会春季大会

会場 駒澤大学 駒沢キャンパス
〒154-8525 東京都世田谷区駒沢1-23-1
TEL 03-3418-9111(代表)
https://www.komazawa-u.ac.jp

第一日 5月25日(土) 受付開始 13:00 会場 種月館207
委員会(12:00~13:30)会場 種月館201 

開会の挨拶(14:00~14:15)    駒澤大学文学部長 橋詰直道氏

シンポジウム「中世の仏教と芸能」(14:15~17:30) 
 ・司会        国文学研究資料館名誉教授 小林健二氏
 ・今様の中の仏教世界        同志社大学 植木朝子氏
 ・芸能市場としての寺院   早稲田大学名誉教授 竹本幹夫氏
 ・太平記読みと狂言と玄恵法印―学問・文学・芸能をつなぐ僧―  
                    駒澤大学 石井公成氏

懇親会(18:00~20:00) 会場 種月館 一階食堂

第二日 5月26日(日) 受付開始 9:30 会場 種月館207

研究発表会〈午前の部〉(10:00~12:15) ※発表要旨はこちら→PDF
1. 『覚一本平家物語』法住寺合戦考
  同志社大学大学院生 城阪早紀氏
2. 『拾遺古徳伝』の和歌―浄土真宗における法然の日吉社頭詠―
  東京大学大学院生 石井悠加氏
3.男装と変成男子―『新蔵人』絵巻に見る女人成仏の思想―
  豊田工業高等専門学校 江口啓子氏

昼食・休憩(12:15~13:30)

研究発表会〈午後の部〉(13:30~15:45) 発表要旨はこちら→PDF
4.正徹晩年の「招月庵歌壇」の実態
 ―『招月庵詠歌』および『四十二番歌合』をめぐって―
  慶応義塾大学大学院生 川上一氏
5. 『勅撰名所和歌要抄』と『帝王編年記』―南北朝期の学問の一側面について―
  山東大学威海校区東北亜学院 佐々木雷太氏
6.伝源通親筆「五首懐紙」について
  明治大学、鶴見大学他非常勤講師 石澤一志氏

総会(15:45~16:15)

閉会の挨拶               日本女子大学 石井倫子氏

※2019~20年度の委員選挙を実施します。(投票締切:5月26日(日)12:30)
※大会開催にあわせ、5月25日(土)10:00~16:30に、駒澤大学禅文化歴史博物館にて資料展示を行います。
※会員外の参加者歓迎 (予約不要)

第1回 中世文学会賞受賞者の決定について

平成30年度より、若手研究者の優れた業績を顕彰し、今後の研究活動を奨励することを目的として、「中世文学会賞」が設けられました。授賞対象論文は、当該年度に発行された『中世文学』所収のものとなります。
この度、『中世文学』第63号を対象に、次の受賞者が決定いたしました。秋季大会初日(10月13日)、公開講演会終了後に授与式を行います。

◆受賞者 田口暢之氏(鶴見大学専任講師)
◆研究業績「二十八品歌の詠法─本歌取り作を中心に─」